ポジティブ・アクションとは?推進される背景、取り組み方法・事例をご紹介


昨今、推進が急がれるポジティブ・アクション。特に女性活躍の推進については「必要性は感じているけれど、実際にどう進めて良いか分からない…」という企業も多いでしょう。 
 
そこで、この記事では「そもそもポジティブ・アクションとは?」「なぜ必要なのか?」というご説明はもちろん、「推進するメリットや注意点」「取り組み方法・事例」「求人活用のポイント」についてもご紹介します。 

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目次[非表示]

  1. 1.ポジティブ・アクションとは 
    1. 1.1.男女共同参画社会の実現を目指す施策の一つ 
    2. 1.2.男女雇用機会均等法の改正
    3. 1.3.少子高齢化に伴う採用難
  2. 2.ポジティブ・アクションの現状
    1. 2.1.女性活躍推進法の義務化項目に「対応した」と回答した企業は10% 
    2. 2.2.国際的に見ても、日本の女性活躍職の割合は低い
  3. 3.ポジティブ・アクションのメリット 
    1. 3.1.女性社員のモチベーション向上 
    2. 3.2.女性採用による人手不足解消・優秀な人材の確保
    3. 3.3.企業イメージの向上 
    4. 3.4.公共調達・補助金の活用が可能 
  4. 4.ポジティブ・アクションの注意点
    1. 4.1.男性社員の不満に配慮
    2. 4.2.面接での質問に注意
  5. 5.ポジティブ・アクションの推進方法 
    1. 5.1.ポジティブ・アクションの導入手順
    2. 5.2.ポジティブ・アクションの取り組み事例
    3. 5.3.女性比率の引き上げの取り組み例
    4. 5.4.管理職への積極的な登用の取り組み例
    5. 5.5. 職域拡大の推進の取り組み例
    6. 5.6.ライフイベントとの両立支援の取り組み例
  6. 6.ポジティブ・アクションの求人活用のポイント
    1. 6.1.活用時の条件
    2. 6.2.「女性歓迎」の表記が可能
    3. 6.3.女性の画像利用がおすすめ
  7. 7.まとめ


ポジティブ・アクションとは 

雇用や労働などにおける男女格差を解消し、女性活躍の場を広げるための、企業の取り組みのことを言います。例えば「営業職や技術職に女性がほとんどいない」「女性管理職がほとんどいない」といった場合に、女性採用や女性の管理職登用を積極的に進めることが、ポジティブ・アクションにあたります。 
 
そして、ポジティブ・アクションに注目が集まる背景は以下の3つです。 


男女共同参画社会の実現を目指す施策の一つ 

男女共同参画社会の実現を目指すべく、内閣府の男女共同参画局は、女性の参画拡大に最も効果的な施策の一つとして、ポジティブ・アクションを推進しています。 


男女雇用機会均等法の改正

ポジティブ・アクションの取り組みには、男女雇用機会均等法が大きく関連しています。1999年の法改正が行なわれてから、女性を対象とした雇用・採用を行なうポジティブ・アクションの実施が可能となっているためです。2007年の改正法では、ポジティブ・アクションに関する規定を拡充しており、以前よりもさらに、女性の活躍推進を進めようという活発な動きが見られます。 


少子高齢化に伴う採用難

ポジティブ・アクションに注目が集まる背景には、「採用市況全体で採用難が続いている」ことがあげられます。日本では少子高齢化・労働人口減少が著しく、また改善の目途がありません。そのため、年々採用が難しくなっており、これまで通りの採用活動を続けているだけでは人材の確保が難しくなっています。  
 
そこで、採用の間口を広げるためにも、積極的な女性採用・受け入れを検討する企業が増えているのです。 


ポジティブ・アクションの現状

ポジティブ・アクションは非常に注目されている施策ですが、実際の対応はまだまだ進んでいません。ここでは、ポジティブ・アクションに対する企業対応の現状についてご説明します。


女性活躍推進法の義務化項目に「対応した」と回答した企業は10% 

2016年に施行され、2022年にも改正された女性活躍推進法。この法律により、企業は「行動計画の策定・情報公開」や「男女の賃金差異の公表」が義務づけられています。 
 
しかし、エン・ジャパンのアンケート調査によれば、「すでに必要な対応を完了した」と回答した企業はわずか10%。女性活躍に向けた課題としては「社内にロールモデルがいない(少ない)」「女性社員の意識」が上位に来ています。女性の活躍を進めていく上で悩んでいる企業は多いようです。 
 
女性の活躍推進についての企業向けアンケート結果はこちら


国際的に見ても、日本の女性活躍職の割合は低い

徐々に女性活躍が推進されてはいるものの、他の先進諸国に比べて、日本の水準は高くありません。例えば、管理職に占める女性割合は以下の通り。これまで以上に、ポジティブ・アクションに積極的に取り組んでいく必要があります。 

 
▼日本と外国における女性の参画状況 


引用元:内閣府男女共同参画『我が国及び諸外国における女性の参画状況等 


ポジティブ・アクションのメリット 

自社でポジティブ・アクションを推進していく上で、どのような成果が見込めるのか、気になる企業も多いでしょう。ここでは、ポジティブ・アクションのメリットをご紹介します。 


女性社員のモチベーション向上 


雇用・採用における男女差の解消を目指す中で、女性社員のやる気を引き出すきっかけになります。より意欲的に取り組む社員が増えることで、全体の生産性が向上。さらなる事業拡大につながるでしょう。


女性採用による人手不足解消・優秀な人材の確保

例えば、これまで女性の採用に消極的だった企業も、積極的に女性採用に取り組むことで、人員不足の解消や、優秀な人材の確保といった課題解決につながることも。広く採用を考えることで、企業全体の問題が解消されることもあります。 


企業イメージの向上 


「社員の活躍に向き合っている」「社会問題の解決に取り組んでいる」「多様性を大事にしている」といった企業の前向きな姿勢は、多くの人々にとって魅力的に映ります。ブランディングの観点からも、ポジティブ・アクションは大きなメリットがあるのです。 


公共調達・補助金の活用が可能 

例えば「えるぼし認定」の取得など、女性活躍推進法に基づく認定企業には、公共調達の際に加点評価がなされます。ほかにも、女性の管理職登用や職域拡大に取り組む企業には「ポジティブ・アクション能力アップ助成金」が支給されます。 


ポジティブ・アクションの注意点

ポジティブ・アクションのメリットを述べましたが、導入時には注意しなければならない点もいくつかあります。 


男性社員の不満に配慮

法的には違反しないとされているポジティブ・アクションですが、現場目線に立つと、男性社員からの不満の声も考えられるでしょう。生産性の向上など、全体へのメリットをきちんと提示しておくなど、男性社員のモチベーション低下につながらないよう、配慮が必要です。 


面接での質問に注意

そもそも面接では、応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性と能力のみを選考の基準とすることが原則です。ポジティブ・アクションを活用して女性に限定した採用を行なう場合も、女性に限定した質問は、男女雇用機会均等法に反する可能性があります。そこで、女性の雇用・採用にあたり、面接で聞いてはいけないNG質問をご紹介します。 
 
▼ポジティブ・アクション採用における面接でのNG質問例 

  • 今お付き合いしている方はいますか 
  • 結婚・出産の予定はありますか 
  • 結婚・出産後も働き続ける予定はありますか 
  • 何歳くらいまで働くことを考えていますか 
  • 女性がお茶くみや掃除を任せられることをどう思いますか 


ポジティブ・アクションの推進方法 

「ポジティブ・アクションの必要性は感じているが、どのように取り組んでいけば良いかわからない」という企業も少なくないでしょう。ここでは、ポジティブ・アクションの推進方法を具体例も用いながらお伝えします。 


ポジティブ・アクションの導入手順

まず、取り組み方のステップは以下となります。 


▼経営トップの意思決定 
▼課題設定 
▼目標設定 
▼施策の実行 
▼振り返り・改善 


経営トップが意思決定を行なうところから始まります。ポジティブ・アクションを推進していくためには、企業が女性活躍の必要性を理解し、会社の制度や風土を変えていく必要があるためです。

その上で、課題の洗い出し、具体的な目標の設定、改善施策の実行、振り返りと改善を行なっていきます。


ポジティブ・アクションの取り組み事例

筆者が求人コピーライターとして求人サイトに携わる中で、出会った事例を取り上げます。ご紹介するのは、運送業を手がけており、ドライバーの人手が足りない企業での事例です。体力勝負・力仕事のイメージから、女性からの応募は諦めており、男性を求人のターゲットにしていました。 
 
しかし、改めて状況を確認してみると、実際は荷物の積み下ろしが楽なトラックを導入しており、荷物を運ぶときも台車を利用。カラダへの負担が大きくないことがわかりました。 
 
このような状況ならば、女性ドライバーが集まるかもしれない。そこで、産休・育休制度を整えること、女性用の更衣室を用意すること、女性社員から声かけを行ない、職場に馴染めるようにすることを施策として提案。その結果、女性ドライバーが活躍できる職場となり、女性からの応募を増やすことができました。 
 
ポジティブ・アクションを行なう上で大事なことは、「今、何が課題になっているか」「どうすれば解決できそうか」を考えること。有効な施策を進めていくことができれば、どのような企業も女性活躍を推進することができるのです。 


▼導入手順と照らし合わせた取り組み例

経営トップの意思決定

・女性採用のために「制度・風土」を変えることを決意する
・女性採用のための改革を従業員に宣言。女性社員に協力を仰ぐ

課題設定

・ドライバーは力仕事のイメージが強い
・女性が長く働ける制度・風土が整っていない
目標設定
・何年後までに女性社員比率を◯%にしたい
・そのために今回の採用では◯名の女性を採用する必要がある

施策の実行

・産休・育休制度や女性用更衣室を用意
・既存の女性社員から積極的に声掛けを行い入社後の定着をサポート
・設備等の導入により力仕事が少ないことを求人でアピール
振り返り・改善
・女性応募者に応募理由を確認して、改善箇所を探す
・次の求人掲載時、入社した女性社員のインタビューを紹介




女性比率の引き上げの取り組み例

(例) 

  • ポジティブ・アクションを活用して、女性に限定した求人を作成・募集する 
  • 採用サイトで女性社員へのインタビューを掲載し、活躍イメージを伝えることで女性の採用成功を狙う 
  • 採用説明会の開催やリクルーターを女性社員に任せ、女性の求職者からの応募増を目指す


管理職への積極的な登用の取り組み例

(例) 

  • 管理職に女性枠を設ける 
  • ロールモデルを提示するために、女性のキャリアステップをHPで公開する 
  • 転勤不可でも管理職になれるポジションを新設する 

 
職域拡大の推進の取り組み例

(例) 

  • 体力的な負担の大きい業務を、設備投資で軽減する 
  • 体力的に負担の大きい業務を担当しない、新職種を用意する 
  • 総務採用の女性にすべての部署を経験してもらい、基幹業務に携わってもらえるようにする 


ライフイベントとの両立支援の取り組み例

(例) 

  • 産休・育休の取得について相談できる窓口を設け、その後の職場復帰もサポートする 
  • 原則として異動は通勤可能な範囲に限定し、できる限り同じ土地で働けるようにする 
  • 子育てしながらでも働けるよう、時短勤務制度を導入する 


ポジティブ・アクションの求人活用のポイント

ここまでご紹介してきたポジティブ・アクションの推進方法を参考にしていただくことで、まずは女性社員の受け入れ準備を進めていくことが大切です。それでは、次のステップとしてどのような工夫をすれば、自社求人に女性からの応募が集まるのか、詳しくご紹介していきます。 


活用時の条件

募集・採用においてポジティブ・アクションを活用するには条件があります。 

  • 総合職・一般職など、それぞれの雇用管理区分で女性の割合が4割を下回っていること 
  • 係長・課長など、それぞれの役職で女性の割合が4割を下回っていること 

これらの条件下では、女性のみを対象とする採用や、女性を優先的に採用することが認められます。


「女性歓迎」の表記が可能

通常は男女差別にあたるため記載できない「女性歓迎」「女性のみに適当されるメリット(女性用休憩室など)」といった表記ですが、ポジティブ・アクション施策であれば可能です。こうした記載があれば、女性の求職者の応募ハードルを下げることができるでしょう。 


女性の画像利用がおすすめ


もし女性社員がいる場合は、求人に画像を掲載すると、その職場で働くイメージが持ちやすいはずです。さらに、転職を考える上で職場に馴染めるか不安な方も多いため、現在在籍している女性社員の情報を記載することで、より応募につながるでしょう。また、「産休・育休の取得・復職実績」「時短勤務制度の利用OK」など、ライフイベントと両立できる環境をアピールするのも有効です。


まとめ

ポジティブ・アクションの用語解説のほか、そのメリット・注意点、推進方法についてお伝えしてきました。そして、ポジティブ・アクションは求人にも明記することで、女性からの応募が集まりやすくなりますので、ぜひ本記事を貴社採用活動にお役立てください。  
 
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エン転職 採用ノウハウ編集部
エン転職 採用ノウハウ編集部
「エン転職 採用ノウハウ編集部」は、HR業界で活躍している複数のメンバーで構成されています。構成メンバーは、現役の人事労務、1000社以上の企業を支援してきた採用コンサルタント、10年以上の経験を持つ求人専門のコピーライターなど。各領域の専門的な知識に基づき、企業の経営者・人事・採用担当者のお役に立てるように記事を執筆しています。 ※「エン転職 採用ノウハウ」はエン・ジャパン株式会社が運営している情報サイトです。
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