人事面談とは?研究で分かった上司と人事で異なる面談効果を徹底解説
人事面談には2つの意味があります。
1つは「人事評価の面談」。上司と部下で行なう、人事評価や能力開発を目的とした面談です。
もう1つは「人事と行なう面談」。人事と従業員で行なう、相談窓口としての面談です。
エン・ジャパン株式会社の「入社後活躍研究所」と「甲南大学 尾形教授」の共同研究で、この2つの人事面談に大きく異なる効果があることが見えてきました。
そこで今回は、人事面談の種類と違いを解説するとともに、「離職防止」や「入社した人材の活躍度向上」などの目的に応じた効果的な人事面談の活用方法についてご紹介します。
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目次[非表示]
- 1.人事面談とは?
- 1.1.人事評価の面談とは?
- 1.2.人事と行なう面談とは?
- 2.人事面談の種類
- 3.【研究結果】人事面談による書類別の効果の違い
- 3.1.離職率低下への効果が高いのは「人事と中途入社者の定期面談」
- 3.2.中途入社者のパフォーマンスが向上しやすいのは「メンターや相談役などの支援制度」
- 3.3.中途採用活動へのアピールになるのは「メンターや相談役などの支援制度」
- 3.4.中途入社者の所属部門の業績向上になるのは「上司など受け入れ側への教育」
- 3.5.職場コミュニケーションが活性化しやすいのは「メンターや相談役などの支援制度」
- 4.入社後の活躍度・定着度を高めるなら、採用段階から対策を
人事面談とは?
人事面談には「人事評価の面談」と「人事と行なう面談」という2つの意味があります。それぞれまったく異なる目的、効果がありますので違いを表にまとめました。
人事評価の面談 |
人事と行なう面談 |
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面談相手 |
上司と部下 |
人事と従業員 |
目的 |
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効果 |
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人事評価の面談とは?
人事評価の面談とは、「上司と部下」が1対1で行なう面談です。目的は主に、部下の人事評価や能力開発。
人事評価の面談頻度は週1回~月1回までさまざまです。基本的な流れとしては、年度初めに「目標設定」の人事面談を実施。その後の定期面談では、目標に対する進捗を確認したり、目標に達成に向けた課題を解決したりします。上司が「目標をいかに達成するのか」の壁打ち相手になることで、部下の成長を促進し、信頼関係の構築にもつながります。
年度の終わりには目標の振り返りを行なう人事面談を実施。これまでの取り組みの「結果」だけでなく、「過程」を考慮することで評価の納得度を高めやすくなります。
人事と行なう面談とは?
人事と行なう面談とは、その言葉通り「人事と従業員」が1対1で行なう面談です。定期的に行う場合と、都度必要に応じて行なう場合の2通りあります。
■定期的に行なう場合:入社後フォロー面談
入社から1ヵ月、3ヵ月、半年など一定期間ごとに人事と従業員(入社者)が面談を行ないます。目的は入社後のフォローを手厚くすることによる、早期離職防止。例えば、「仕事で分からないことがあるが上司は忙しそうで質問しづらい」「上司からハラスメントを受けている」などの上司には直接相談できない内容、相談しづらい内容の、相談先として人事がヒアリングを行ないます。
また、入社後にギャップに感じていることがないかなども確認します。入社者は上司以外の相談先があることで安心できる他、悩みが解消されれば離職を防止できます。
人事は、入社後に起きている問題を把握することで社内の改善をできる他、入社後ギャップが発生しやすいポイントを踏まえ、採用活動の改善を図ることも可能です。例えば、入社者から「入社前に思っていた仕事イメージより体力的な負担が大きい」という声が多かった場合、求人で仕事の体力的な負担の大きさを事前に伝えたり、面接で「仕事風景の動画」を事前に流したうえで体力的な負担の大きさについての注意喚起を行なったりすることで、採用のミスマッチを防止しやすくなります。
■不定期で行なう場合:相談窓口や異動打診
「人事との定期的な面談」だけでは解決しない問題もあります。例えば、入社者が上司から日常的にハラスメントを受けている場合、定期面談だけだと面談日まで待つ必要があります。その間に離職してしまう危険性が高いです。そこで、いつでも人事に相談できる窓口(メール・電話等)を設けておくのが有効です。
また異動などの打診も人事面談の役目です。事業計画などに紐づき異動が発生する場合、本人のキャリア希望を聞きつつ異動を打診します。
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人事面談の種類
ここまでご紹介してきた6つの人事面談をまとめます。
目標設定面談
部下の目標を設定するための面談です。「いつまでに、何を、どのようにして、どれくらいまで伸ばすのか」を決定します。ポイントは2点。
1つは目標を定量で持つこと。具体的な数字で目標を持つと、達成したのか否かを振り返りしやすくなります。もう1つは「どのように達成するのか」も明文化すること。「頑張る」「努力する」という言葉を使わず、具体的にどんな行動・改善を行なうかを明記すると、取り組みを実行に移しやすくなります。
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に行なう面談のことです。主に「目標設定」の人事面談で決めた目標に対する進捗の確認、課題の把握、解決策のすり合わせなどを目的として行います。
頻度としては週1~月1回のサイクル。部下が上司に対して報告や相談を行ない、上司はアドバイスに徹します。
振り返り面談
「目標設定」の人事面談で決めた目標に対する振り返りを行なう面談です。四半期ごとや、半期ごと、年度ごとに行ないます。達成率を考慮し、給与や賞与の金額、昇進などの人事考課に反映します。
目標設定や振り返りで部下と細かくする居合わせができていると、人事制度に対する納得感が高まり、モチベーション向上につながりやすくなります。
入社後フォロー面談
新たに入社した社員を対象に、フォローを目的として行なう面談です。入社1ヵ月後、3ヵ月後、半年後などの一定期間ごとに行なうケースが多く、直接上司には相談しづらい内容の受け皿となります。
入社後フォロー面談で、入社者の「困っていること」が解消されれば定着する可能性を高められます。また、「入社後にギャップに感じているポイントがないか」を確認するのも入社後フォロー面談の大事なポイントです。入社後にキャップになりやすい点を人事が把握することで、採用活動を改善することができます。
ハラスメント相談
パワハラをはじめとした各種ハラスメントについて相談する面談です。上司や同僚が原因となるケースも多く、直接相談ができないため、人事が窓口となります。相談を受けたら事実関係の確認を行ないましょう。
異動打診面談
経営計画や事業計画に紐づき、候補者に異動を打診します。異動の辞令を一方的に伝えるのではなく、異動するとどのようなメリットがあるのかをあらかじめ整理して話せるようにしておきましょう。
【研究結果】人事面談による書類別の効果の違い
中途入社者が入社後活躍するためには、何が必要なのか。これを明らかにするために、エン・ジャパンの『入社後活躍研究所』は、『甲南大学 尾形教授』と共同研究を行なっています。
今回調査したのは「中途入社者のオンボーディング」。「オンボーディング」とは、採用した社員の「受け入れ~定着・戦力化」を早期に行なうための施策群のことです。
人事面談を含む各種面談のうち、どれが「入社後の定着率向上」「入社後の早期戦力化」に効果があるのかを、416社へのアンケート調査を通じて、考察しました。以下で、その結果の要点をまとめてご紹介します。
離職率低下への効果が高いのは「人事と中途入社者の定期面談」
離職率の低下にもっとも効果があったのは、「人事との面談」でした。「現場の上司には言いづらいことを聞く場」を設けると、入社者は「大切にされている」「不安を解消する場を設けてもらっている」という会社への信頼感につながるようです。
中途入社者のパフォーマンスが向上しやすいのは「メンターや相談役などの支援制度」
上司や人事以外の先輩社員が「メンター」や「相談役」になることも大きなメリットがあることが分かりました。
メンターや相談役に求められることは「適応エージェント」としての役割です。適応エージェントとは新しい環境への適応をサポートする他者のことを言います。新入社員にはメンター制度などがありますが、中途入社者にも必要です。わからないことがあった時にすぐに聞けたり、適切なアドバイスができる存在は非常に心強いです。
「先輩社員なら誰でも質問に答えられるから好きに質問して」というスタンスだと上手くいかないケースもあります。メンター・相談役をあえて1人たてることで、質問・相談先が明確になり、入社者が話しかけやすくなります。結果、不明点が解消しやすくなり、パフォーマンス向上の効果も表れやすいのだと考えられます。
中途採用活動へのアピールになるのは「メンターや相談役などの支援制度」
「メンターや相談役などの支援制度」は中途採用活動においても、アピールポイントになりやすいことが判明しました。中途採用で求職者が気になるポイントの上位に、「自分が仕事に上手くなじめるか」があります。
メンター・相談役がいるというのは求職者にとって心強く、魅力に感じるのだと考えられます。
中途入社者の所属部門の業績向上になるのは「上司など受け入れ側への教育」
上司や同僚となる先輩社員など「受け入れ側」の教育も重要です。受け入れる側に伝えることとして、最も大切なことは「中途入社=即戦力」ではないということ。
たとえ経験者採用であっても、会社が変われば仕事の進め方は異なります。スキルや知識の習得や暗黙のルールの理解はもちろん、前職で培った経験の中で通用しない部分を意識的に忘れるアンラーニングなど中途入社者特有の課題があります。受け入れ側の理解を促進すると、受け入れ部門の業績向上につながりやすくなるという調査結果があります。
職場コミュニケーションが活性化しやすいのは「メンターや相談役などの支援制度」
職場コミュニケーションが活性化しやすいのは、1位が「メンターや相談役などの支援制度」。2位が「上司と中途入社者との定期的な面談」でした。
上司との面談では、現場で起きている問題解決とメンタルサポートをする場とすることが大切です。聞きづらい質問や、業務上の課題を傾聴すること。培ってきた強みが活かせた場面などを具体的に褒めること。前職との違いについてアドバイスをしてあげること。社内のネットワーク作りの支援をしてあげること。こうした取り組みにより、入社者が社員の一員として馴染みやすくなります。
より詳細な研究結果は、以下をご覧ください。
▼『中途入社者のオンボーディング』と『入社後活躍』 に関する調査・分析 ~甲南⼤学 尾形教授との共同研究~
入社後の活躍度・定着度を高めるなら、採用段階から対策を
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
人事面談には、入社後の早期離職を防止し、活躍度を高める効果があります。早期離職防止・活躍度向上のためには、面談を通して入社後にフォローを行なうことも大切ですが、「採用段階の工夫」で改善できることもあります。「辞めづらい人」「自社にマッチした人」を採用できれば、その分、早期離職のリスクも軽減できます。
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『エン転職』の強みの1つに「入社後の定着率の高さ」が挙げられます。エン・ジャパンが「入社1年以内の離職率」に関する調査を行なったところ、『エン転職』経由の入社者は「他サイト」と比較して離職率が半分以下であることが判明しました。
入社後活躍する人材の採用において、最も企業のお力になれるサービスは、『エン転職』をおいて他にいないという自負があります。ぜひ以下のお問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。
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